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【地酒解体新書 第3回】容器で維持する地酒の鮮度・風味。

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酒類

何が酒の味を落とすのか?

お酒が劣化する要素は温度と光と空気です。

ただしお酒にはアルコールが入っているので、劣化と言っても腐るということにはなかなかなりません。

お酒の世界には腐造という言葉がありますが、これは乳酸菌が異常に増えてしまうということで、これを防ぐために寒造りが良いとされたり、パスツールが低温殺菌法を発明する400年も前から煮酒と呼ばれるパストライジングの技術が確立されたり、その殺菌方法(火入れ)の回数やタイミングの違いにより「生・生貯蔵酒・生詰め」などに分かれたり、そして、それが「ひやおろし」という言葉の由来であったりと、なかなか面白く興味深い話は沢山あるのですが、この辺のことは別の機会に譲るとして、今回のテーマである劣化はお酒の「風味が落ちる」ことを意味します。

光に負けないために効果的な瓶の規格とは。

一升瓶の色は殆んどが茶色です。これは茶色の瓶が一番紫外線(光)をカットしてくれるからで、ドリンク瓶やビール瓶など、光に弱い食品や飲み物の容器にも茶色の瓶が多く使われています。

紫外線をカットするのに有効な瓶の色は黒い瓶や緑色の瓶だそうで、緑色については濃い緑色と薄い緑色でも大きく違ってくるということです。また、瓶の表面を曇り硝子のように加工したものを、スモーク瓶とかフロスト瓶とか言いますが、紫外線を防ぐ力は返ってツヤ瓶よりも落ちるそうです。おもしろいですね。

瓶の色を着けるためには、茶色は鉄、緑はクロムなどの金属(イオン?)を使いますが、ガラスというものは何年たってもガラス自体から溶出するものはなく、ナトリウムイオンが少し出るくらいで、中身に対する安全性は非常に高い素材です。

また、光が通るということも中身が見えると言う安心感の裏返しでもあり、保存する場所さえ考慮すれば優秀な容器と言えるのです。

さらに小箱に入っていれば光は遮断されますから問題はないのですが、少しでも光が当たればお酒の劣化は早くなりますから、蛍光灯のそばや日光が燦々と注いでいる所は避けて冷暗所に置いてください。

やはり開封後が、一番新鮮なのです。

空気については「開栓後は早めにお召し上がりください」としか言いようがありません。

よく封を開けたら何日くらいでダメになりますか?という質問を受けますが、冒頭でも述べたように、身体に害を及ぼすようないわゆる腐った状態になる話ではなく、あくまで風味が落ちるという話ですから、何日目でアウト・何日以内ならセーフといった基準がある訳ではありません。

お酒の瓶にも製造年月は表示されていますが、これは正確には賞味期限ではなく、瓶詰めした日付を表示しているだけで、それを過ぎたから飲めない・飲んではいけないという表示ではないのです。

梅錦は裏ラベルに「製造年月から6ヶ月を過ぎていた場合はご返品下さい」と表示していますが、これとて商品によっては瓶詰め後に半年とか1年を過ぎてからの方が美味しい場合もあり、飲んではいけないと言う意味ではありません。

ただし一般的に言えば普通のお酒は新しい方が美味しく、また、後で述べる保存の状態(温度)などによる違いも非常に大きいので、一概には言えないところです。ワインのヴィンテージと似たような意味で、キチンと保存されていれば飲み頃時期といった表現も可能かもしれませんが、このあたりは古酒・熟成酒のお話も含めて別の機会にお話します。

寒暖差がイヤなのは、人もお酒も同じ。

温度の問題については、飲み頃温度と保存の温度を分けて考えてください。

ご家庭でお酒を保存する場合、もちろん冷蔵庫がベストなのですが、冷蔵できなくとも温度の差が少ない所でお酒が温まらない所を選んでいただきたいものです。

例えば、ギフトなどで高いお酒を頂くと、「そのまま押入れの天袋に仕舞って2年経った」などという話も聞きますが、ベランダや押入れの天袋などは、季節変動と冷暖房の組み合わせによって一日の中でも温度差が大きく、お酒にとっては虐待テストを受けているようなものなのです。

ワインのセラーと同様に、昔の家には土間などの「風通しの良い冷暗所」があったのですが、できるだけそれに近い温度差の少ない場所に置いて下さい。

こんな風に上手に保存したお酒はさらに美味しく味わいたい。でも劣化したから、もう駄目だろうか…次回はこんなところをポイントにして、飲み頃温度の話と古くなったお酒の処理方法と料理のお話をいたしましょう。

地酒解体新書について

本連載は、国分グループ本社株式会社と全国の有力地酒蔵元との協力により運営して運営する「地酒蔵元会」ホームページ内に掲載されている記事を転載しております。解体新書の他にも地酒に関する様々な情報が記載されておりますので、ぜひアクセスしてみてくださいね。
※地酒解体新書は2008年に公開された記事となります。現在とは異なる表記がある場合もございますのでご了承ください。


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